No.2 キャンプ時の栄養士の仕事とは(その1)

Jリーグ2ndステージは、横浜Fマリノスの優勝。
試合終了間際まで、ジュビロか、アントラーズか、マリノスか・・・となり、89分(ロスタイム)にそれぞれの試合で点が決まり、このような結果になるとは。
本当にサッカーは最後まで何がおこるかわからないと思いました。

そして残念ながらサポートしている「ベガルタ」は、J2降格となってしまいました。

ベガルタは数年前からサポートしているチームで、今年はシーズン初めのキャンプへも帯同し栄養指導を行いました。
よく「清水監督をしたって選手が集まった」と言われていましたが、選手も「ここのチームにきて復活した」など自ら言うくらいチームに愛着があり、本当にファミリーという言葉が似合うチームだなと思いました。
くやしい結果となってしまいましたが、これからの天皇杯にむけて焦点を合わせ、選手によってはオフ中の自主トレ時の栄養サポートを依頼してきたものもいます。次の目標のために、始動している姿は、本当にプロなんだと思います。

今回は「国内キャンプ」(海外キャンプについては別の機会に)でのメニュー調整の方法、主にキャンプに入る前に栄養士がやることについて紹介したいと思います。

キャンプ前に把握すること

まずチームの食事予算を提示してもらいます。
朝食・昼食・軽食・夕食・夜食・弁当など、全ての食事の金額を確認します。
税別か、それとも込込か、消費税・ホテル税が入るかどうかでは、全く違った金額になるので、その確認も忘れないようにします。

そして

  • 1. キャンプ期間
  • 2. トレーニング時間
    →午前・午後・もしくは夜に筋力トレーニングを行う場合もあるので、そういった場合を考慮してメニューを調整する必要があります。
    朝食をとって何時間後にトレーニングを行うのか、トレーニングが終わって何時ごろ食事をするのか、消化吸収などを考慮する必要があるので、トレーニング時間を把握することは必要です。
  • 3. トレーニングマッチ
    →トレーニングマッチがある場合は、ゲーム前に軽食をとります。
    そのための食事を用意しなければなりません。
    またゲームのために夕食時間が変更になったり、遅い時間に夕食をとる場合もあります。
    そういった場合もやはりメニューを考慮する必要があります。
  • 4. 弁当の手配
    →トレーニングマッチをする場合、離れたグラウンドへ移動する場合があります。
    そういった場合の弁当の内容を調整して、手配する必要があります。
  • 5. 外食
    →長期的なキャンプの場合、気分転換をかねて選手・スタッフで外食する場合があります。
    そういったときの日時(ホテルへの食事キャンセルの伝達)・内容の把握もします。
  • 6. その他
    キャンプ初日に飛行機で移動した場合、思うような時間に食事が取れない場合が多いです。
    そういったことを考慮して、到着時に軽い食事を用意して、昼食をとらせる・・・などといった配慮もします。

これらは、フィジカルコーチと相談しながら、選手が計画的にトレーニングが行えるためにどうしたらよいのか、食事のタイミング・内容をきめていきます。

もちろん、選手の嗜好・アレルギー等も考慮します。

ホテルへの依頼

上記のことをもとに、ホテルの担当者・シェフと打ち合わせにはいります。

チームの要望(フィジコ・選手によって異なることも多いので、毎年違います)を伝え、場合によってはホテル側へサンプルメニューを提示します。

サラダの内容・ドレッシングの種類・メイン料理の内容、量・・・以外にも、調理方法や料理の出し方・並べ方などでもお願いしたりします。

例えば・・・
「サラダ」
6種類を別盛りにして、そのうち3種類は温野菜にする。
葉野菜はキャベツとオニオンをミックスしたものにする。
ドレッシングはノンオイルのものを3種類・ワインビネガー・レモンを用意する。

「メイン料理」
5種類以上。
肉の種類・部位(サーロイン・ヒレ・もも・・・)を指定する。
・・・

これはほんの一例ですが、それぞれに対してそういった細かい指示をだしていきます。
それらの要望をもとに、予算内でのメニューをホテル側に作成してもらいます。

メニュー調整

作成してもらったメニューを、調整します。

要望どおりか確認し、キャンプの目的(身体づくりが主)にあっているか、栄養学的にどうか、例えば選手がトレーニングがきつくなってきた場合に食べれるメニューかどうか・・・などを考慮して調整します。

あとは、予算内でいかに種類・量が出せるか、です。
これは栄養士の腕次第(!)です(交渉の仕方等、これは経験をつんで覚えたことの一つですが)。

このメニューの調整には、だいぶ時間がかかります。
ホテル担当者と金額的な話をしたり、シェフと一つ一つのメニューに対して確認も行います。
地元の特産物・シェフ(またはホテル)の得意メニューを組み込んだり、食事会場で実際にステーキを焼くとか、鍋の場合は各テーブルに出してもらう・・・ということを依頼したり。

やはりキャンプは長期にわたりますから、栄養学的なこともそうですが、食事の「楽しみ」も大事にしなければなりません。

同じ「ステーキ」を出すにしても、焼いたものをそのままだすのか、それとも会場に鉄板を用意してもらって実際に目の前で焼いてもらうか、それだけでも選手の食べ方は違います。

出しても食べなければ意味がありません。逆に食べるからといって栄養的にふさわしくないメニューをだしても意味がありません。
栄養の理論をどのようにして現場にいかすことができるのか、そういったことを踏まえてのメニュー調整は栄養士の大事な仕事です。

キャンプ現地入り

場合によっては、選手がキャンプに入る前日にホテルに入り、食事会場・内容の最終確認をします。

例えば食事の並べ方も、入り口からサラダ・惣菜・・・というように並べ方を決めたりします。
小さなことですが、テーブルに塩やすりごま・ようじなどを置く、といった配慮も大事。

とにかく、選手が良い環境で気持ちよく食事ができるように、トレーニングに集中できるような食事環境づくりを念頭にあらゆることを確認します。

キャンプ開始

食事はバイキング形式となるので、「何をどのくらい食べればよいか」を選手に示す必要があります。
そのために、サンプルメニューを毎食用意します。

身体づくりが目的となるキャンプは、そのために必要な「たんぱく質」「カルシウム」「鉄」・・・といった栄養素が必要になってきます。

また怪我をしている選手にとっては、キャンプの間に回復しなければなりません。その早期回復に必要な栄養素は怪我によって異なりますから、その選手が何が必要かということを教える必要もあります。

選手によって嗜好も違いますし、量があまり食べれない、逆に夕食を食べ過ぎる・・・といった食事傾向によって、選手個々に指導していく必要もでてきます。

とにかく選手の食事(3食+間食)が把握できる良い機会でもあるし、サプリメントを使わなくてもとり方次第で理想的な食事ができる・・・といった指導ができるので、キャンプは栄養士にとって指導しやすい環境にあります。
またシーズンはじめということもあり、選手は「今年は!」という気持ちでキャンプに入っているので、意識も高いです。
ここでどういう指導をするかによって、選手の栄養に対する意識が変わってきます。大事な時期です。

実際にキャンプに入り、選手の食事状況によってはメニューを変更することもあります。
中華が人気がないようであれば、同じ栄養素を含む洋食に変えてみたり。
フルーツでも去年はキウイが人気があったのでそれを多めに出したらイチゴの方を食べる、そういったことがわかれば、どんどん可能なかぎり変更していきます。
トレーニングがきつくて昼食をあまり食べれない選手がでてくれば、具たくさんの丼ぶり物をだしたりもします。
普通「丼ぶり物」は身体のエネルギーとなる「炭水化物」が多いのですが、ご飯の量を少なめにして上にのせる具「たんぱく質」を多くすれば、身体作りに必要な栄養素をとることが可能です。
「丼ぶり物」は好きな選手が多く、食べ安いので、そんな細工(!)があると知らない選手は、普通に食べてしまいます。
ちょっとしたことですが、こんなことでも選手がとる栄養素は変わってくるのです。

こういったちょっとした工夫もいれながら、毎日のメニューチェックをしていきます。

それからチーム全体に対しての講義・選手個々に対しての指導など、キャンプ中に栄養士のやることはまだまだありますが、細かいサポートについてはまた別の機会に紹介したいと思います。

チーム栄養士の大事な仕事の一つが、キャンプのメニュー調整です。
本当に簡単に紹介しましたが、「どうすれば理論に基づきつつ、選手が食事を楽しめるか」ということは、キャンプメニューを考える上で重要です。
キャンプというとたくさんエピソードはありますが、だんだん魚に飽きてきて、選手があまり食べなくなってきたときのこと。
キャンプ中にオフがあり、何人かの選手・スタッフで釣りに行きました。大きな鯛や見たことのない魚が大量に釣れ、それをシェフに頼んでさばいてもらい、夕食時に出してもらったことがありました。
「俺が釣った」とか、そのときの話で盛りあがり、釣りに行かなかった選手もその話をきいて雰囲気的にその魚を食べたいような気持ちに陥ったらしく、それから数日間は選手の魚を食べる量が増えたこともありました。
食事は雰囲気が大事で、楽しみながらすれば食欲も増すのだということを実感しました。


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